継続することで
到達できる美しさがある
大澤実音穂 ミュージシャン
3月8日は女性の功績を祝福し、女性の生き方を考える「国際女性デー」。今年のキーワード「SENSE/感覚」をテーマに、しなやかな美しさを携えた5名の女性クリエイターたちのインタビューをお届けします。彼女たちの表現や、彼女たち自身が持つ美しさの背景には、どんな感性が息づいているのでしょうか。
大澤実音穂
MINEHO OSAWA
(ミュージシャン)
〈雨のパレード〉でドラムを担当。その端正な佇まいから放たれる力強い音は、バンドを支える柱となっている。ファッション・ビューティへの情熱を持ち、モデルとしても活動。
@______mineho
SENSE
「自分の技を磨き上げて生きていける人に憧れる」と話す大澤さんは、小学生のときからドラムに惚れ込んでいる。雄大で、安心感があって、力強いビートが〈雨のパレード〉 の美しい世界を支える。
AME NO PARADE Playlist
SEE/SAW Playlist by Mineho Osawa
ポジティブなパワーが感じられる大好きな曲達を選びました。やりたい! と思うことに、素直に挑戦できる日々を送っていきたいなと思います。私が私で良かったと思えるように自分らしく生きていきたいです。(BY 大澤)
INTERVIEW
〈雨のパレード〉は今年で結成10周年を迎えた。パンデミックやメンバーチェンジなど紆余曲折ありながら、ここまで続けてこられたことに、改めて感じ入ってしまうと大澤さんは話す。「続けていくのは決して簡単なことではないので、とても自信になりました。継続した人にしか見えない景色があるなぁと。後ろには道ができ、未来への道筋も見えていく。その尊さを実感しています」。周りの友人たちを見ても、目標に向かってひたむきに前進を続ける姿に惚れ惚れしてしまうことが多いという。「やるぞ! という意思やパワーは眩しいし、美しいなと感じます」。
鹿児島で音楽を生業とする両親の長女として生まれた大澤さん。音楽の道を選ぶことは自然の成り行きだった。「親からの期待が重くて離れた時期もあったんですが、小学4年生のときに金管バンドの演奏を見て、女性の先輩が叩いているドラムの格好良さに衝撃を受けて。私がやりたいのはこれだ、とはっきり自覚しました。親も喜んでいましたね(笑)」。
音楽の魅力について訊ねると「解釈を助けることができるものだから」と返ってきた。「アートやファッションの展示に音楽を添えると世界観がより豊かになるし、喜びや哀しみなど、感情を代弁してくれるものでもある。そういうところが好きです。音楽は一度作り手の側を離れたらリスナーのものだと思っているので、私たちの音楽も自由に解釈をしてもらえたら。ある時にふと誰かの心の支えになったら、それがなによりも嬉しいです」。
WEB LIMITED
ミュージシャンという仕事柄、自分のスタイルをどう構築していくのか、ずいぶん悩んだ時期もあったそう。「もともと、周りの目を気にして考え込んでしまうタイプ。前に出て発言する機会が増えるたび、“この一言で誰かを傷つけてしまったらどうしよう”と悩んでいました。ビジュアルも、ミステリアスな雰囲気にするべきというルールを勝手に決めて、服も黒ばかり選んでいて。あれもダメ、これもダメと自分を縛っていたんですね。でもパンデミックあたりから徐々に、バンドの姿勢を見つめる過程で、自分を許せるようになって。髪色も服ももっと自由にしていいんじゃないかって、今はずいぶん楽になりました」。そんな大澤さんが特に情熱を注いでいるのがライブだ。「普段とは明らかに違う自分でステージに立っています。そのとき支えになるのがコスメの存在。いつもよりアイラインやラメの強度を上げていくと、ぴりっと気合いが入ります。いつかコスメのプロデュースを手がけるのが夢です」。
Photo_Mizuho Takamura